3月1日から3月7日にかけてフランスのグルノーブルにあるILLで開催されたFullProf schoolに参加してきました。FullProfはILLで開発された結晶構造、磁気構造解析のためのソフトウェアです。このスクールはこのFullProfの使用方法を学ぶためのもので、今回で7回目の開催だそうです。参加者は30名ほどで、磁性を研究する博士課程の学生やポスドクが世界各地から集結していました。私も現在研究しているフラストレーション系の磁気構造解析に苦労していたので、FullProfの使い方を一通りマスターすることと解析のヒントを得られればと思い参加させてもらうことを決めました。
スクールでは座学はそれほど多くなく、ほとんどの時間がFullProfの使い方の練習に割かれていました。常時、3,4名のFullProfを熟知した講師が指導をしてくれていて、非常に手厚いサポート体制でした。また、午前と午後に1回ずつコーヒーブレークがあるのですが、そのときは参加者たちがこぞって講師に質問をぶつけ盛んに議論していて、少しでも多くのことをこのスクールで学んで帰るんだという迫力を感じました。私も触発されて講師の方々のこれまで磁気構造解析の経験や磁性体の研究について議論することができ、非常に感銘を受けました。また、当初の目的であった自分の物質の磁気構造解析についても質問することができ、有益な助言を得ることができました。
一方で、同じ磁性の分野で研究している海外の博士課程の学生と話ができたということもとても刺激的な体験でした。国際会議や海外実験などで海外の研究者と話す機会はこれまでもあったのですが、今回のように5日間みっちり同じ時間を過ごすということで、いろんな国の人と腰を据えて話すことができました。それぞれの国での研究事情やたわいもないことも含めて、日本では得られない経験でした。特に仲良くなったインド人の学生とはインドの食べ物のことやインド人と日本人の気質の違いなど研究以外のとても興味深い話が聞けました。また、海外の学生と研究の話をしているときに驚いたのは、誰と話しても日本人研究者の名前が出てくることでした。こういう場面で日本人研究者の名前を聞けて、磁性研究における日本人の活躍を改めて実感しました。
今回のFullProf schoolへの参加は私の研究に対して確実にプラスになる有意義なものでした。このスクールで学んだことを今後の研究活動に還元できるようにまた研究活動に励みたいと思います。最後に、このスクールへの参加を支援して頂いたことに心から感謝申し上げます。
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